【顔面神経麻痺(ベル麻痺)】肉体労働や冷たい風が背景にあると考えられる症例(50代・男性)

患者さま情報

50代・男性

発症から来院までの経緯

内装工事のお仕事をされており、上を向いて行う作業や力仕事が多く、長年にわたり身体を酷使する生活を送られていました。

また、仕事中は社用車を運転することが多く、助手席に座る方が窓を開けてタバコを吸うことがあるため、運転中は左頬に冷たい風が当たり続けることが日常だったそうです。


ある日、朝ごはんを食べていると食べ物が口の端からこぼれたり、口元に力が入らないことに気づき病院を受診されました。

『顔面神経麻痺(ベル麻痺)』と診断され、お薬による治療が始まりましたが、ご本人としてはあまり変化を感じられず、「できることは何でも試したい」という思いから、発症から約1週間後に当院へ来院されました。

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『寒い環境に長時間さらされること(寒冷暴露)と顔面神経麻痺との関係』は、以前から指摘されています。

寒冷暴露だけでなく、過労、抜歯、妊娠、紫外線などのストレスにより、顔面神経麻痺を引き起こすウイルス(単純ヘルペスウイルス)が再活性化、増殖をきたし、顔面神経麻痺につながります。

※『顔面神経麻痺診療ガイドライン』を元に一部修正して作成しています

施術のポイント

お身体を診させていただくと、首・肩・背中にはかなり強い張りがあり、長年の肉体労働による疲労が蓄積している印象でした。

そのため、お顔だけではなく、首や肩、背中の緊張を和らげ、全身のバランスを整えることも大切にしながら施術を行いました。

また、お話を伺う中で、毎日のように冷たい風が顔へ当たる環境も改善する方が良いと考えました。

窓を開けたまま長時間運転することを避ける、フェイスウォーマーやマフラー、マスクを着用することで患部が冷えないようにする、電子レンジでチンして使える温めグッズの使用、といった日常生活で取り組める工夫もお伝えし、できる範囲で取り組んでもらいました。

経過

初回〜5回目

大きな変化はまだ見られませんでしたが、首や肩、背中の緊張を中心に施術を続けました。

お仕事は休めない状況でしたが、患者さんご自身も運転中の冷気を避けるなど、生活の中でできる工夫を続けてくださいました。

6回目〜10回目

少しずつ変化が現れ始めました

うがいの際に水がこぼれにくくなり、麻痺していた側にも少しずつ力が入り始めました。


おでこにしわを寄せたり、眉毛を動かしたりする動きも少しずつ戻ってきました。


この時期は週2〜3回のペースで施術を続けました。

12回目〜17回目

その後も順調に回復が進みました。

経過中に病的共同運動はみられず、最終的には日常生活で不自由を感じない程度まで改善されました。

考察・まとめ

今回の患者さんは、長年の肉体労働による疲労に加え、仕事中に冷たい風が顔へ当たり続ける生活環境がありました。

顔面神経麻痺はさまざまな原因が重なって起こると考えられており、「冷たい風”だけ”」が原因だったとは言えません。


しかし、このような身体への負担や生活環境も、発症に関係していた可能性は考えられますし、回復を目指す際にネガティブな要因になり得ます。


今回の症例では、お顔だけではなく首や肩、背中を含めて全身を整える施術を行うとともに、患者さんご自身も生活環境を見直してくださったことも良い点だと思います。


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顔面神経麻痺は、症状の程度や回復までの経過に大きな個人差があるものです。

比較的軽い麻痺では自然に回復する方も多く、Bell麻痺では約7割が自然に改善すると報告されています。


一方で、麻痺が強い場合や回復が遅い場合には、後遺症(病的共同運動やこわばりなど)が残ることもあります。

当院では、お顔の状態だけを見るのではなく、「なぜ発症したのか」という背景にも目を向け、お一人おひとりのお身体や生活に合わせた施術を心がけています。

不安な時期に一人で抱え込まず、安心して相談できる場所でありたい、それが当院の考えです。




■顔面神経麻痺に関するコラムも併せてご覧ください

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