【顔面神経麻痺】後遺症予防と機能改善のために、正しいリハビリを

June 9, 2025

顔面神経麻痺になると顔が思い通りに動かないのはもちろんですが、日常生活も気持ちも本当に辛くなるかと思います。

安心してほしいのは、病院での適切な早期治療（お薬など）と、地道にコツコツ続けるリハビリが、回復への一番の近道になるということです。

そして、回復をサポートしたり後遺症を和らげたりする心強い味方として、鍼灸治療もあります。

今回は、顔面神経麻痺の回復にとって、リハビリがどれだけ大切か、そしてその「正しいやり方」についてご紹介したいと思います。

顔面神経麻痺の回復にリハビリがとても大切なワケ

顔面神経麻痺の急性期を過ぎると、病院では「リハビリしましょう」という流れになるかと思います。

リハビリの目的は、大きく分けて3つあります。

麻痺した顔の筋肉を、もう一度しっかり動かせるようにする
顔の左右差をできるだけなくす
後遺症（顔がこわばったり、意図しない動きが出たりする「共同運動」など）を予防したり、軽くしたりする

顔面神経麻痺というのは、たとえ傷ついた部分が治ったとしても、その神経が顔の筋肉に「動け！」と指令を送り、ちゃんと動くようになるまでには、損傷の程度に準じたある程度の時間が必要です。

普段意識しないと思いますが、顔の神経と筋肉というのはすごくデリケートなものなんです。

だから、もし間違った動かし方をしたり、無理して強く動かし続けたりすると、

「口を動かすと、なぜか目も閉じてしまう…」

といった意図しない動き（「病的共同運動共同運動」と言います）が出たり、

顔がガチガチにこわばって力が抜けないことにつながります。

これが、何としても避けたい「後遺症」です。

正しいリハビリを続けることで、それぞれの表情筋（口まわり、目まわり、おでこなど）を上手に動かせるようになり、共同運動の予防になります。

ですから正しい方法で根気強くリハビリに取り組むことが、スムーズな回復には本当に欠かせないと言えます。

顔面神経麻痺のリハビリ「正しいマッサージを、正しい時期に」

「マッサージしない方がいいって聞いたんですけど、結局どっちがいいんですか？」

と、患者さんから質問されることがあります。

正解は、「正しいマッサージを、正しい時期に行うのが良い！」です。

つまり、「マッサージはするべき！」とか「絶対ダメ！」という極端な話じゃなく、今の状況に合わせたやり方をするのが一番大切なんです、とお伝えしています。

どの時期にも共通して言えるのは、何よりも「正しくやる」ことです。

顔を力任せにグリグリ揉んだり、大げさに顔を動かすようなトレーニングは、どの時期でも絶対にダメです！
　

具体的なリハビリの段階は、大きく分けて次の3つです。

発症してすぐの段階（急性期）

まだ麻痺が強くて、顔がほとんど動かない時期を指します。

口の周りの筋肉を指先で優しくマッサージしたり、頬の筋肉を軽く押さえながらストレッチしたりするのが良いです。筋肉が硬くなるのを防いだり、血の巡りを良くしたりするために行います。
回復期

少しずつ顔の動きが戻り始めた時期です。

鏡を使ったリハビリ（ミラーバイオフィードバック療法）を始めます。

鏡を見ながら、口を「イー」とか「フー」とか動かす練習になるですが、この時、目が閉じないように気を付けるのが重要です。

間違えやすいのが「筋トレではない」ということです。

自分の顔の動きをしっかり見て、脳に正しい動きを教えてあげるのが目的です。
生活期

麻痺の回復がある程度落ち着いたあとです。

この時期もリハビリは変わらず大事です！

顔のマッサージやミラーバイオフィードバック療法を、毎日の習慣として続けて行きます。

後遺症を防いだり、和らげたり、そして顔の機能をキープするために必要なことです。

特に冬の寒い時期は顔のこわばり感が強く感じやすくなります。

顔や首肩のまわりを温めることもしっかり取り入れると良いでしょう。