症例:すぐにステロイドを飲めなかった突発性難聴(低音型)の改善例・合計10回施術

●患者さま

30代 女性 東京都世田谷区

 

●発症から来院までの経緯

2023年11月に風邪を引いてから左右両方の耳が詰まるようになった

耳鼻科で聴力検査を受けたところ、左耳の低音域が40~45dBに低下(軽度難聴レベル)、右耳の125Hz~250Hzは30dBに低下(軽度難聴レベル)。事情によりすぐにステロイド薬を飲むことができず、1ヶ月後から飲み始めることになった。当院初診時、まだ聴力改善は見られていない。医師からは「突発性難聴」の診断をされている。

2023/12/3 聴力検査(○が右耳、×が左耳)

既往歴として、中学生の頃から「頚肩腕症候群(けいけんわんしょうこうぐん)」ある。(頚肩腕症候群とは:首、肩、腕の痛み、上腕から前腕にかけての疲労感や脱力感、手指のしびれや冷汗などが起こる症状のこと)

整体にて首や顔まわりをほぐされたところ翌日から耳鳴りがやや改善したことがある。

当院のホームページに「肩こりは耳と関係している」と書かれているのを読んだことと、自宅から通院しやすい場所にあったことが来院の決め手となった。

 

●経過と施術のポイント

  • 首肩こり
  • 食いしばりによる顎と顔の緊張
  • 鼻のどの状態改善

1回目:肩〜首にかけてのコリが強く耳への血流を妨げていると感じた。手足のツボを使ってコリを緩めた。食いしばりから顔の筋肉もこわばっていた。食いしばりを強くしている顔の筋肉に鍼を行いこわばりを取った。

食いしばりがあると顎の関節が硬く緊張し、耳が詰まったり聴力低下につながってしまう。引き続き改善を目指す。

2回目:前回後、耳鼻咽喉科にて聴力検査を行ったところ低音域の改善が見られた(右耳の125Hz~500Hzが30~20dB→10dBになった)

2023/12/23 聴力検査

患者さんのコメントとしては「ステロイド薬を飲み始めるのが遅かったから、もう戻らないかと思ったのに…」とのことだった。たしかにステロイド薬は異変を感じた直後に飲み始めた方が改善が期待できる。だが、発症から2ヶ月弱のタイミングであればまだ諦めることはないと当院では考えている。

前回同様の施術を行いつつ、「鼻の奥に鼻水が詰まった感じがある」とのことだったので鼻のどの状態改善へのアプローチを行った。鼻のどの状態は耳の詰まりに大きな影響を与えるためである。同時にセルフケアとして鼻うがいを勧めた

3~5回目:鼻うがいを続けているがすぐに通らなかったのがしやすくなってきた。耳鳴りが前よりもなくなって来たような感じがある。聴力検査では125Hzが40→30dbに、250Hzと500Hzが40→25dB、30→25dBに改善。正常の範囲内になった。施術では鼻のどの状態改善を特に重点的に行った。

2024/1/6 聴力検査

6~8回目:良くも悪くも大きな変化はなく聴力検査の結果も同じく出ている。125Hzのみ30dBで軽度難聴に分類される数値。ただし平均聴力レベル(4分法)では10.0dB→13.8dBに上昇している。同様の施術を行なった。

2024/1/27 聴力検査

●聴力の変化の様子

ピンク色で囲っている範囲が軽度難聴。(左耳の125Hz以外)正常の範囲に改善しているのが分かる。

 

●まとめ

聴力低下の具合や症状の出方、経過を見る限り『低音障害型感音難聴』の症状とよく似ている。

この難聴は風邪をきっかけに発症することがよく見られるが、それ以前に背景として首肩のこり、食いしばり、鼻のどの炎症などの体質的なものを持っているケースが多い。

さらにそこにストレス、疲労、寒さ、寝不足などが加わって発症まで至ってしまう。繰り返すことが多いが、一方で改善もしやすいタイプの難聴と言える。

今回は唯一125Hzのみ30dBで軽度難聴に分類される数値であることが悔やまれるが、その他の通知は正常範囲まで改善できた。発症のきっかけと背景にアプローチすることが大切だと考える。

耳のトラブルについて詳しくはこちら

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