【顔面神経麻痺(ラムゼイハント症候群)】帯状疱疹から発症「回復は難しいかもしれない」と言われたが、日常生活に復帰できた
帯状疱疹から顔面神経麻痺(ラムゼイハント)を発症された症例をご紹介します。
患者さま情報
50代 女性 東京都
発症から来院までの経緯
最初に異変を感じたのは、耳〜首にかけての激しい痛み。
これまで経験したのことのある頭痛やコリではなく、感じたことのない痛みでした。
翌朝、鏡を見ると、ご自身でわかるほど目が閉じられず、口元が歪んでいる状態になっていました。耳の周辺に水疱ができているのも触ると分かりました。
急いで病院に行ったところ「帯状疱疹による顔面神経麻痺(ラムゼイハント症候群)、重度の麻痺」との診断。
お薬を出されて様子を見ていたものの、改善しなかったため、その後入院することになりました。
退院時も麻痺の症状には改善がありませんでした。
病院では手術を勧められましたが、リスクや後遺症を考慮し手術はしないことを選択。
医師からは「回復するのは難しいかもしれない」と言われたものの、なんとか動き出してほしい一心でネット検索し、来院してくださいました。
当院での施術のポイント
ラムゼイハント症候群は帯状疱疹ウイルスによる顔面神経の炎症や損傷が原因で起こります。
そのため『神経の回復を促進し、症状を緩和すること』を目的として施術を行いました。
- 神経の炎症を抑える:
ダメージを負っている顔面神経やその周囲組織の炎症を和らげ、神経の再生能力を高めることを目指しました。後遺症につながる顔面部に対して過度な刺激を避けるため、手足、背中、頭のツボを主に使いました。
- 血流の改善:
麻痺によって動きにくくなっている表情筋に対して適切に刺激を与えることで、筋肉の機能回復を助け、萎縮を防ぎ、自然な顔の動きを取り戻すことを目指しました。
- 内臓の緊張を取り除く:
内臓(特にお腹や鼠径部(そけいぶ)など)に強い緊張があると、それが全身の筋肉のこわばりを招き、首や肩、さらには顔面部への血流を妨げることがあります。
さらに、内臓の緊張は自律神経のバランスを乱す可能性も考えられます。手足のツボを用いて、緊張を緩め、全身の血行を促しました。
また、発症3ヶ月以降は後遺症が出てくるリスクも頭に置き、地道にリハビリをすること、リスクを避けることも早くからお伝えしていました。
経過
- 発症1ヶ月〜2ヶ月(初回〜20回目):
発症から1ヶ月、まだ麻痺からの動き出しが見られない状態でした。
腹部から鼠蹊部にかけて強い緊張があったため、これが全身の緊張を招き、顔面神経の回復を妨げていると考えました。まずはこの部分を緩ませる施術を行いました。
施術を重ねるごとに、顔に少しずつ動きが見られ始めました。
閉じた時の目の隙間が減ってきて、頬が上がるようになってきました。
柳原法で2/40点→12/40点まで改善が見られました。
- 発症3ヶ月〜:
頬の動きが改善。
頬を膨らます際に空気の漏れが少なくなりました。
しかし、顔の重たさやこわばり感が出る時もあり、これは後遺症の一種ではないかと考えられました。
特に、仕事が忙しい、寒さや冷えが強いとき、首肩こりを強く感じたとき、疲れが溜まったときに症状がひどくなる傾向が見られたため、ご自宅でのセルフケア(顔の温め、マッサージ、口腔内のマッサージ)を継続するようお伝えしました。
- 発症半年〜:
柳原法は30/40点まで回復。
麻痺の回復ペースは落ち着いてきましたが、日常生活では他者から見ても分からないレベルまで改善。
重度の麻痺であったことから、当初より後遺症が残ることが予想されましたが、その現れは最小限に抑えられています。
ご本人には、当初、医師より「回復は難しいかもしれない」と言われたことより良い結果となり、喜んでいただけました。
考察・まとめ
治りが悪く、後遺症を残す確率が高いとされるラムゼイハント症候群であること、発症から1ヶ月経っていても動き出さない状況というのは、患者さんの不安はとても大きかったと思います。
発症から1ヶ月経過しても動き出しが見られない状態で来院されましたが、施術を重ねるごとに徐々に顔に動きが現れ、柳原法で2点→12点、最終的には30点まで回復しました。
回復の過程で顔の重たさやこわばり感といった後遺症の兆候も見られましたが、早期からのセルフケア指導と継続的な施術により、その出現を最小限に抑えることができたと思います。
重度の麻痺だったことを考えると、日常生活に支障がないレベルにまで改善できたことは大きな成果だと考えています。
発症から比較的早いタイミング(発症1ヶ月)で鍼灸施術をスタートできたことが成果につながったのではないかと思います。
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