「症状が治まっても不調が続くのはなぜ?」慢性上咽頭炎と自律神経の話
耳鼻科にて「慢性上咽頭炎」と診断された患者さんの中には、不安が強い、寝付けない、起きてしまうなどの自律神経の乱れが絡まり合ったお悩みをご相談をいただくことも多いです。
ある日、患者さんがこんなことをおっしゃっていました。
「上咽頭炎から自律神経が乱れるなんて知りませんでした」
「喉の症状もしんどいけど、自律神経のほうが辛いです…😢」と。
本当にそうですよね。。。
実際、慢性上咽頭炎のつらさは鼻、のどだけではありません。
今回は、慢性上咽頭炎と自律神経の関係、そして皆さんの体に備わっている「回復の仕組み」についてお話ししたいと思います。
「慢性上咽頭炎になると、自律神経が乱れることがある」
この事実は、まだまだ多くの人に知られてないなと感じます。
症状を辛く感じる理由は、単なる上咽頭の炎症だけではなく、体全体のバランスが崩れてしまうところにあります。
上咽頭は「迷走神経」という、自律神経の中心とも言える神経が走る場所のすぐそばにあります。
そのため、炎症が長く続くと迷走神経が刺激され、自律神経の働きまで乱れてしまうことがあるのです。
流れとしてはこうです。
上咽頭に炎症がある
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迷走神経が刺激される
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体が「警戒モード」になる
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睡眠・呼吸・心の状態・頭の疲れ・胃腸の働きなど、さまざまな乱れが起きてくる!

迷走神経は、体を落ち着かせる方向に調整してくれる神経です。
呼吸、胃腸、炎症の反応など、体の働きをバランスよく保つ役割を持っています。
そのため、この神経が乱れると、さまざまな不調につながることがあるのです。
炎症が長く続くことで体は、
まだ危険が続いている!?
油断できない😱!!
なんとかしなきゃーー⚠️⚠️⚠️
と判断し、脳や神経が緊張状態のまま固まってしまいます。
その結果、上咽頭の炎症がおさまって来たとしても、
・眠りが浅い
・息苦しい
・不安感や動悸がある
・疲れが抜けない
など、こういった、いわゆる不定愁訴と言われるさまざまな症状がしばらく残ることがあります。
ですが、ここからが大事な部分です。
体にはもともと、炎症をしずめる力が備わっています。
最近の研究では、迷走神経が炎症のサインを感知すると、アセチルコリンという物質を出し、炎症が強くなりすぎないよう抑えてくれることが分かって来ました。
炎症のサインが出る
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迷走神経が感知する
▼
アセチルコリンが放出される
▼
炎症を抑える方向に働く
つまり、体は「回復する力」をちゃんと持っている、ということです。
ただし、長い間ストレスや炎症を抱えていると、この仕組みがうまく働きづらくなり、「自分の体にそんな力があるなんて信じられない」という状態になってしまうことがあるので厄介と言えます。
安心していただきたいのが、炎症が落ち着いて、体が「もう大丈夫だ」と判断できる時間が積み重なると、少しずつ落ち着く方向へ向かっていけるようになるということです。
回復のスピードには個人差がありますが、焦らず体が回復する方向に導く、そして、寄り添うことが大切になります。

回復スイッチ=迷走神経の反応を取り戻す
当院の施術で取り入れているのが、迷走神経へのアプローチです。
といっても、迷走神経そのものに直接鍼を刺すわけではありません。
迷走神経は体の深い場所で大事な血管と並んで走っていて、表面から直接触れることはできない場所にあるためです。
無理やり届くように鍼をするのは大変危険なので当院では行いません。
そら鍼灸院で行っているのは、迷走神経が働きやすくなる “周囲の筋肉・血流・呼吸” を整える方法です。
結果的に自律神経のバランスが戻りやすくなる、という考え方をします。
具体的にはこんなことを取り入れています。
- 耳介へのてい鍼・電子温灸機の使用(迷走神経の入り口への調整)
- 胸鎖乳突筋をゆるめる施術(耳・のどの症状の緩和)
- 呼吸が深まる胸郭・お腹の調整
- YNSA(山元式新頭鍼療法)を使用して自律神経ポイントを整える施術
これらはすべて、「回復スイッチ=迷走神経の反応を取り戻す」ことを目的にしています。
自宅でセルフケアとしておすすめグッズ
自宅でセルフケアとしておすすめなのが、耳を温めるグッズを使用することです。
👂ナイトミン耳ほぐタイム

👂耳ぽっか

など、イヤホン状で耳に入れると発熱してくれるグッズです。
ドラッグストア、ネットで手に入ります。
こういったものを使用することで「自律神経が落ちつく反応」を期待することができるのです。
治すための道具ではなく、不快感を和らげ、体が落ち着きやすい状態を作るサポートとして役立つと考えています。
(特に就寝前が相性◎)
もちろん、耳を温めても迷走神経を直接刺激できませんが手軽なお役立ちアイテム、お守りアイテムとして持っておくのはアリだと思います。
「今日はいつもより楽だった」「呼吸がしやすかった」「気分の落ち込みがマシだった」そんな小さな変化が積み重なっていくことがとても大事になります。
当院でも前に進めるようサポートできたらと思います🍀


