【顔面神経麻痺】診断されたあと、どう過ごせばいいのか迷っている方へ
顔面神経麻痺と診断された直後に、知っておいてほしいこと
顔面神経麻痺は、ある日突然起こることが多く、
「なぜ自分が?」
「本当に元に戻るの?」
と、強い不安を持ちやすい病気です。
症状が片側の顔に現れるため、見た目が気になり、人とのコミュニケーションへの影響も大きく、麻痺そのものの辛さと同時に、気持ちの負担が大変に積み重なりやすいのが特徴です。
特に発症した直後は、
・さまざま手段で情報を急いで集めすぎてしまう
・良いことも悪いことも一気に目に入ってしまう
・「とにかく何かしなければ」と焦ってしまう
こうした状態になりやすい時期でもあります。

ですが、顔面神経麻痺の回復は、
「焦った人ほど早く治る」ものでも、
「何もしなければ自然に治る」ものでもありません。
今の状態を正しく把握し、「今、やるべきこと」と「今、控えたほうがよいこと」を整理することが、結果的に回復を遠回りさせないことにつながります。
病院治療と鍼灸は役割が違います
顔面神経麻痺の治療において、病院での初期治療は不可欠です。
・命に関わる病気ではないか?
・どのタイプの麻痺なのか?
・炎症やウイルスの関与があるか?
これらを見極め、適切な薬物治療をすみやかに行えるのは医師だけです。
鍼灸院ではできません。

一方で、病院の診察はどうしても時間が限られやすく、
「この先どう過ごせばいいのか」
「日常生活で何に気をつければいいのか」
というきめ細かいところまで、十分に相談できないことも少なくありません。
鍼灸は、病院治療の代わりになるものではありませんが、回復期に向けて体の状態を整えたり、回復を妨げる要因を減らす関わり方ができるという役割があります。
だからこそ、
・病院での治療を受けながら
・今の体の段階を見極め
・無理のない形で関わる
この「役割分担」を理解したうえで選択することが大切だと思っています。
「何もしないで待つ」以外の選択肢もあります
鍼治療は、顔面神経麻痺の治療過程においては「回復期」に位置づけられています。

ただし、回復期=それまでは何もせずにただ待つ時間というわけではありません。
・体の緊張・こりが強くなりすぎていないか
・回復を妨げる負担がかかっていないか
・今の段階で避けたほうがよい行動は何か
こうした点を早めに理解、整理しておくことで、回復の過程がスムーズになるケースもあります。
「今すぐ施術を受けるべきか分からない」
「まだ迷っている」
その段階でご相談いただいても構いません。
大切なのは、なるべく早く、不安を一人で抱えたまま時間を過ごさないことです。
顔面神経麻痺とは何か?
顔面神経麻痺は「顔がまがってきた」、「眼が閉じにくい」、「水が口からこぼれる」、「口の動きが悪くなる」など、顔の筋肉が動きづらくなる病気です。
年間、人口10万人あたり50人ほど発症するといわれ、2割以上に後遺症が残ります。ですので、毎年ほぼ1万人づつ、顔面神経麻痺後遺症の患者数が増えています。
(日本耳鼻咽喉科頭頚部外科学会ホームページより)
顔面神経麻痺の種類
- ベル麻痺:約60%を占め、最も多くみられる
- ラムゼイハント症候群:約20%
- その他:聴神経腫瘍、側頭骨骨折、耳炎性麻痺、手術損傷、先天性など
愛媛大学調べ 1998~2017年の症例データ
ベル麻痺の予後は比較的良好とされ、約70%は後遺症なく治癒するとされています。
一方でラムゼイハント症候群の場合、症状が重くなりやすく、顔面神経麻痺に加えてさまざまな症状が見られます。
耳の後ろや中の痛み、水疱、かさぶた、聞こえの悪さ、耳鳴り、ふらつき、めまいなどです。
ハント症候群の場合、神経変性を強く起こせば中程度〜重度の麻痺になる可能性があります。
顔面神経麻痺かも?と思ったら…
顔に違和感を覚えたら、まずは速やかに病院(医師)を受診し、初期治療を受けることが大切です。
顔面神経麻痺では、発症早期の対応が、その後の回復に大きく影響します。
そのため、医師による診断と治療は欠かせない第一歩になります。
鍼治療は、一般的には、病院での薬物治療を受けたあとの「回復期」に位置づけられています。
ただし、「回復期だから何もせずに待つ」という時間の過ごし方が、必ずしも最善とは限りません。
病院での治療と並行して行えること、体の状態を見ながら無理なく関われることが、鍼灸の強みでもあります。
今の段階で何ができるのか、何を控えたほうがよいのか。
そうした整理を早めに行うことで、回復の道筋が見えやすくなることもあります。
少しでも不安がある場合は、早めにご相談いただくことをおすすめします。
病院(医師)にしか出来ないこととは何か?
- 麻痺の種類の特定
命に関わる脳の問題ではないことをはっきりさせる - 初期の炎症を抑える
ステロイド薬、抗ウイルス薬の点滴や処方
そのほかには電気を流して神経の動きを確認する、腫瘍が原因ではないか判断する、手術をすることがあります。
これらは鍼灸院ではできませんし、時間が経ってしまうと手遅れになったり、効果を十分に発揮できない場合があります。

注)ステロイド投与は副作用もあります。糖尿病、高血圧、消化管潰瘍、精神疾患、肝炎、妊婦さん、授乳中の方などは使えないという場合もありますが、それでもまず病院で相談するべきであると考えます。
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