症例:【低音障害型感音難聴】足首の古傷からくる首コリが原因?6回の施術で聴力改善
繰り返す耳の詰まり感と聴力低下。
過去の足首の捻挫と関連する首の硬さが原因と考え、施術を行った結果、聴力が改善したケースをご紹介します。
患者さま情報
20代 男性 (東京都)
発症から来院までの流れ
ある朝、突然の聴力低下と右耳の詰まり感で目が覚めました。
耳鼻咽喉科を受診したところ「低音障害型感音難聴」と診断されました。
患者さまは約10年前に右耳の「突発性難聴」と診断された経験があり、「突発性難聴は繰り返さない」という理由から、今回は「低音障害型感音難聴」という診断名になったとのことです。
耳鼻科ではステロイド、メチコバール、アデホスコーワ、胃薬が処方されました。
もともと約10年前の突発性難聴の影響で、右耳の高音域は聴力が低下しており、その影響か「キーン」という耳鳴りが出ることもありました。
今回も日によって耳鳴りが出ている状態でした。
発症のきっかけで思い当たるのは、疲労が溜まっていたことくらいで、過度な飲酒や風邪などもありませんでした。
ご自宅から近く、耳の症状を専門にしていることから当院へ来院されました。
当院での施術と経過:
この患者さまの施術ポイントは、以下通りと考えました。
右足首の硬さから始まる首コリの解消全身の緊張をやわらげてリラックスを促す
まず、右耳周辺のコリを確認したところ、耳の後ろの骨のすぐ下に突っ張るような強いコリが見られました。
これは、体の「横のつながり」として、首の後ろから身体の横側を通って足首の外側へと続くラインの緊張が影響していると考えました。

足首の硬さに心当たりがないか尋ねたところ、「子供の頃に(足首の外側をひねるような)捻挫を繰り返していた」とのことでした。
あまり知られていませんが、こうした過去の「古傷」が、時を経てコリの原因となり、耳のトラブルにつながることがあると考えています。
そこで、足首周りや足背のツボを用いて、この関連する硬さを緩めることにしました。
さらに、患者さまが「緊張しやすい体質」であることから、特にお腹(横隔膜周辺)に強い緊張が見られました。
このお腹の緊張は、呼吸の浅さや首コリにもつながります。そのため、手足のツボなどを用いて、お腹の緊張をやわらげ、全身のリラックスを促すアプローチも行いました。
初回施術: 施術後、4〜5時間ほど耳の詰まり感がなくなったとのことでした。
ただし、この時点での聴力検査ではまだ変化は見られませんでした。
2回目: 食いしばりを解消するツボ(手首、顎、顔など)への鍼を追加しました。
これにより、首のコリもスーッと緩むのを感じられました。
3回目: 2回目の施術後、耳鼻科で聴力検査を受けたところ、中音域に10dB程度の改善が見られました。
4回目〜6回目: 再度聴力検査を行ったところ、中音域は正常レベルまで戻っており、低音域も65dBから30dBまで大きく改善していました。
症状が安定し、聴力も改善が見られたため、合計6回の施術で終了となりました。
聴力の変化
初回施術の4日前の聴力検査表では、右耳の低音域から中音域にかけて著しい聴力低下が見られます。
3回施術後の聴力検査表では、中音域に改善が見られ始めています。
6回施術後の聴力検査表では、中音域が正常範囲まで回復し、低音域も65dBから30dBまで改善していることが確認できます。
過去の突発性難聴による高音域の低下は残存しています。

低音〜中音域までの聴力低下が著しい状態。

中音域の改善が見られる。

中音域が正常範囲まで改善する。低音域は65→30dBまで改善する。
考察・まとめ
今回の症例は、繰り返す低音障害型感音難聴に対し、一般的な疲労だけでなく、過去の足首の古傷と関連する全身の緊張、特に首のコリにアプローチすることで改善が見られたケースです。
「古傷」と現在の症状が結びついていることはあまり知られていませんが、体の「横のつながり」のように、離れた場所の硬さが他の部分に影響を及ぼすことがあります。
この患者さまの場合、足首の硬さが首のコリ、ひいては耳周囲の血流に影響していたと考えられます。
また、「緊張しやすい体質」によってお腹に強い緊張があり、これが呼吸や首の緊張をさらに強めていた可能性も考慮し、全身のリラックスを促す施術も同時に行いました。
患者さまご自身にはすぐに自覚的な変化がなくても、客観的な聴力検査で着実に改善が見られたことは、施術の有効性を示す重要なポイントです。
過去の突発性難聴による高音域の低下は残存しましたが、今回発症した低音・中音域の聴力が改善し、日常生活での不便さが軽減されたことは大きな成果です。
この症例から、耳の症状の背景には、一見関係なさそうな体の部位の緊張や過去の怪我が影響している可能性があり、全身を総合的に診てアプローチすることの重要性を改めて感じました。
突発性難聴について詳しく知りたい方はこちらをどうぞ
