症例:【突発性難聴(低音型)】ステロイド開始遅れも、10回の施術で聴力正常レベルに(一部除く)
ステロイド薬の開始が遅れても聴力が大きく改善したケースをご紹介します。
患者さま情報
30代 女性 (東京都)
発症から来院までの流れ
風邪を引いた後、両耳の詰まり感が出現。
耳鼻科で聴力検査の結果、両耳の低音域に軽度難聴(左耳40~45dB、右耳30dB)が判明し、「突発性難聴」と診断されました。
事情があり、すぐにステロイド薬を飲むことができず、約1ヶ月後から開始することに。
当院への初診時、まだ聴力に改善は見られませんでした。
以前、首や顔のケアで耳鳴りが軽減した経験があり、「肩こりは耳と関係する」という当院のホームページの記事に興味を持たれ、ご自宅から通いやすいこともあり来院されました。
当院での施術経過とポイント:
初回: 強い首や肩のコリが耳への血流を妨げていると考え、手足のツボなどを使ってコリを緩める施術を行いました。また、食いしばりによる顎や顔の緊張も耳の症状に関係するため、顔の筋肉にも鍼でアプローチし、こわばりを取っていきました。
2回目: この施術後すぐに耳鼻科で聴力検査を受けたところ、右耳の低音域に改善が見られました。(125Hz~500Hzが30~20dB → 10dBに)。
患者さまもステロイド開始が遅れたため諦めかけていたとのことで、大変驚き喜んでいらっしゃいました。
当院では発症から時間が経っていても、まだ改善の可能性はあると考えています。
この頃より「鼻の奥に鼻水が詰まった感じがある」という訴えにも着目し、鼻やのどの状態改善へのアプローチも開始。鼻うがいもおすすめしました。鼻やのどの状態は耳の詰まり感や聴力に大きく影響するためです。
3~5回目: 鼻うがいがスムーズになり、耳鳴りも以前より気にならなくなってきました。聴力検査では、左耳の125Hzを除くほとんどの低音域が正常の範囲内にまで改善しました。特に鼻やのどの状態改善に重点を置きました。
6~8回目: 聴力検査の結果はほぼ安定し、左耳の125Hzが30dB(軽度難聴レベル)に残るのみとなりました。
他の周波数は正常値を維持。同様の施術を続け、合計10回の施術で経過観察となりました。
聴力の変化:
初診時の聴力検査結果(図のピンク色の範囲:軽度難聴)と比べると、ほとんどの低音域が正常レベル(ピンク色の範囲外)に改善していることが分かります。(※図参照)
特に、耳の詰まり感や耳鳴りに関係しやすい周波数の聴力が回復しました。(左耳の125Hzのみ軽度難聴レベルが残存)
考察・まとめ:
この患者さんのように、風邪がきっかけで発症し、低音域のみ聴力が低下するケースは「低音障害型感音難聴」によく見られます。
このタイプの難聴は、もともと首肩こり、食いしばり、鼻やのどの炎症といった体質的な要因を背景に持っていることが多く、そこにストレスや疲労などが重なって発症に至ることが少なくありません。
繰り返しやすい反面、比較的改善もしやすいという特徴があります。
今回はステロイド薬の開始が遅れた状況でしたが、発症のきっかけ(風邪)だけでなく、背景にある首肩こりや食いしばり、鼻のどといった体質的な要因にしっかりアプローチすることで、結果的に聴力の大幅な改善を引き出すことができました。
唯一、125Hzが戻りきらなかった点は残りましたが、他の周波数が正常に戻り、症状が軽減されたことは大きな成果です。
発症の背景にある体質的な原因にも着目し、総合的にアプローチすることの重要性を改めて感じた症例でした。
耳のトラブルについて詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。
